分析及び評価

概 要

中小企業の事業分析、財務分析、事業性評価に関するさまざまな手法や考え方について学習します。
中小企業が事業活動を円滑に遂行するためには,さまざまな課題に対応する必要があります。そのためには,事業活動の指針となる経営理念,経営戦略,経営計画が必要です。さらに,そもそも自社がどのような市場環境の中で機会と脅威を抱えながら活動を行っているのか,自社の事業の強みや弱みは何なのか,また財務的に健全な状態にあるのかを分析・評価して経営を行うことは重要です。
また,近年の金融機関はかつての担保・保証主義から中小企業の事業内容について成長性や安全性を分析・評価して融資判断を行うことを金融庁から求められています。

【公式テキスト「第1章 分析及び評価」目次】

  • 1-1 企業のライフステージ
  • 1-2 経営管理と経営戦略
  • 1-3 経営計画の必要性
  • 1-4 事業承継
  • 1-5 中小企業の資金調達
  • 1-6 企業を取り巻くリスク
  • 1-7 外部環境分析の重要性
  • 1-8 マクロ環境分析と業界分析
  • 1-9 市場・競合分析
  • 1-10 外部環境分析からみたSWOT分析
  • 1-11 内部環境分析
  • 1-12 ヒト
  • 1-13 モノ
  • 1-14 カネ
  • 1-15 情報、知的財産
  • 1-16 企業価値評価の必要性
  • 1-17 評価方法の種類
  • 1-18 DCF法
  • 1-19 時価純資産法
  • 1-20 類似会社比較法
  • 1-21 財務分析の意味と方法
  • 1-22 安全性の分析
  • 1-23 資本効率性の分析
  • 1-24 収益性分析
  • 1-25 損益分岐点分析
サンプル問題

経営理念に関する記述のうち,正しいものを選択肢の中から1つ選びなさい。

  1. 経営理念は、一度定めたら永久に変えてはならない大切なものである。
  2. 経営理念は、毎事業年度のはじめには、適切に見直しより新しい時流に乗ったものにしていくことが重要である
  3. 経営理念は、定款において、会社の目的に定めておく必要はない。
  4. 経営理念は、定期的に社員が唱和しなければならない。
  5. 経営理念は、新規取引の開始に際しては、取引先にあらかじめ提示してから取引を開始しなければならない。

正解 3.
経営理念は会社にとって大切なものであるが、一度定めたら絶対変えてはならないというしばりがあるわけではない。しかしながら、毎年や定期的に見直すようなものでもない。また、法律的な定めによって経営理念が定めなければならないものでもないので、会社法で規定されているわけでもなく、よって定款に記載することが義務づけられてもいない。ある意味、会社の風土・文化等目に見えない価値観を共有するためのものでもあり、社員が朝礼や会議等で唱和するケースも見られる。しかし、この唱和も義務づけられているものではなく、企業の自主的な行動の中で生まれてくるものである。

会計及び財務

概 要

中小企業経営に必要な会計・財務について学びます。
中小企業も会社である以上,会計のルールに基づいて決算書(計算書類)を作成し,税務申告を行わなければなりません。中小企業にとって上場企業向けの会計ルールほど高度な会計ルールは必要ありませんが,一方で中小企業にとって簡単に利用できる会計ルールの存在があまり知られてきませんでした。このルールが「中小会計要領」です。
また,会計の知識を用いることで,自社の財務状況が明らかとなって投資判断や経営改善に役立ち,さらには決算書の質を向上させることで金融機関や取引先からの信頼性が向上してスムーズな資金調達や取引にもつながります。さらに,会計と同時に財務の知識を身に付けて経営計画を立て,これに基づいて資金政策や資金繰りをどのように行うかということは中小企業経営者にとって不可欠な素養です。

【公式テキスト「第2章 会計及び財務」目次】

  • 2-1 会計の意義と計算書類
  • 2-2 中小企業会計基準
  • 2-3 中小企業会計の特徴
  • 2-4 収益・費用の認識と測定
  • 2-5 資産・負債の分類と評価
  • 2-6 純資産(資本)
  • 2-7 利益概念
  • 2-8 金銭債権・債務
  • 2-9 貸倒損失と貸倒引当金
  • 2-10 有価証券
  • 2-11 棚卸資産
  • 2-12 経過勘定
  • 2-13 固定資産
  • 2-14 リース取引
  • 2-15 引当金
  • 2-16 工業簿記と原価計算
  • 2-17 原価計算の分類・要素
  • 2-18 費目別原価計算
  • 2-19 製造間接費会計
  • 2-20 原価計算の種類
  • 2-21 財務管理と管理会計
  • 2-22 資金管理
  • 2-23 資金の調達と運用
  • 2-24 利益管理
  • 2-25 予算管理
サンプル問題

損益計算書はどのようなものでしょうか。最も正しいものを選択肢の中から1つ選びなさい。

  1. 損益計算書は企業の一定期間(会計期間)の財政状態を表します。
  2. 経営成績(利益獲得の程度)は,企業の努力の程度を表している。
  3. 経営成績は,収益(獲得した貨幣の金額)から費用(犠牲となった貨幣の金額)を控除して計算されます。
  4. 収益(獲得した経済価値の金額)から費用(犠牲となった経済価値の金額)を控除して計算されます。
  5. 損益計算書は企業の一定期間(会計期間)の貨幣の有り高を表します。

正解 4.
1. 財政状態ではなく経営成績です。
2. 企業の努力の程度ではなく企業の経済活動の成果です。
3. 獲得した貨幣の金額ではなく獲得した経済価値の金額です。
5. 貨幣の有り高ではなく経営成績です。
損益計算書は企業の一定期間(会計期間)の経営成績を表します。経営成績(利益獲得の程度)は,企業の経済活動の成果であり,次の算式に示すように,収益(獲得した経済価値の金額)から費用(犠牲となった経済価値の金額)を控除して計算されます。

税  法

概 要

中小企業の経営者が少なくとも習得しておかなければならない税法の基本的事項について学習します。
米国では会社取締役の資質の判断要素の1つとして「節税」があげられます。米国での法人税率はトランプ政権の前までは40%を超えていました。日本の法人税率も米国の次といってよいほど高いものです。米国企業と同様に法人税をいかに減らしていくかという意識、“Tax minded manager”としての資質が問われていくようになるでしょう。

【公式テキスト「第3章 税法」目次】

  • 3-1 法人税法の概要
  • 3-2 青色申告と帳簿
  • 3-3 利益と所得
  • 3-4 益金・損金
  • 3-5 税法の減価償却方法
  • 3-6 役員給与
  • 3-7 交際費・寄附金
  • 3-8 欠損金の繰越し
  • 3-9 法人税額の計算
  • 3-10 法人税の申告・納付
  • 3-11 消費税法の概要
  • 3-12 原則的な消費税額計算
  • 3-13 特別な消費税額計算
  • 3-14 消費税の申告・納付等
  • 3-15 所得税法の概要
  • 3-16 所得税額計算と申告・納付
  • 3-17 相続税とは
  • 3-18 相続税の基本的なしくみ
  • 3-19 贈与税の基本的なしくみ
  • 3-20 事業承継の際に発生する税金
サンプル問題

贈与税の対象や贈与税額の算定に関する記述のうち、正しいものを選択肢の中から一つ選びなさい。

  1. 財産の贈与をした人を「贈与者」といい、贈与を受けた人を「受贈者」といいます。贈与税が課税されるのは贈与を行った「贈与者」です。
  2. 法人からの贈与財産にもその個人に贈与税が課されます。
  3. 結婚式の祝儀、香典、祝物等社交上必要と認められるものは贈与税が課されません。
  4. 課税価格から控除される基礎控除は年間110万円ですが、二人から贈与を受けた場合、基礎控除は倍の220万円となります。
  5. 基礎控除後の価額に掛け合わせる税率は、どんな贈与でも一つだけです。

正解 3.
1. 贈与は、贈与者・受贈者双方の了解があって初めて成立します。贈与税が課せられるのはタダで貰った側、すなわち、受贈者です。
2. 贈与税は、相続税の補完税ですので個人から個人への贈与のみ課税されます。したがって、法人からの贈与財産には課税されません。ただし、所得税の一時所得となります。
3. 正解です。財産の性質や社会的常識、公益的配慮から贈与税が課税されない財産がいくつかあります。
4. 基礎控除額は、受贈者一人につき、年間110万円と決められており、たとえ、何人から贈与されたとしても変わりません。
5. 贈与税の税率は8区分に分かれた超過累進課税となります。さらに一般税率と特例税率があります。

経営法務

概 要

健全な企業経営を行ううえで、必要不可欠な経宮法務について学びます。
体的には、①契約管理・債権の管理と回収の実務の基礎、②事業を行うための形態として広く用いられている株式会社に関する基本的なルール、③企業のコンプライアンスと内部統制の概要、④人事に関する基本的なルール(労働関係法)について学習します。

【公式テキスト「第4章 経営法務」目次】

  • 4-1 契約管理
  • 4-2 債権管理
  • 4-3 債権回収
  • 4-4 企業形態としての会社
  • 4-5 株式会社の機関
  • 4-6 株式会社の社員としての地位=株式
  • 4-7 株式の譲渡と相続
  • 4-8 株主総会
  • 4-9 取締役・代表取締役・取締役会
  • 4-10 計算書類等
  • 4-11 監査役と会計参与
  • 4-12 会社の事業の拡大と整理
  • 4-13 企業倫理の意味と不正行為の防止
  • 4-14 コンプライアンス経営の実践
  • 4-15 募集・採用
  • 4-16 入社手続きと使用者の責任
  • 4-17 勤怠管理(労働時間・休憩・休日・長時間労働対策)
  • 4-18 退職・解雇(懲戒解雇・普通解雇・整理解雇)
  • 4-19 内部統制の構成要素
  • 4-20 中小企業の経営力強化と内部統制
サンプル問題

【契約管理】契約書の作成に関する次の説明のうち、正しいものを1つ選びなさい。

  1. すべての契約は、当事者間の合意があれば成立するため、契約を締結する際に契約書を作成することは必要ではない。
  2. 契約締結前に、法人である相手方の商業登記簿謄本(登記事項証明書)を取得することは、相手方の契約締結権限を確認する上で重要である。
  3. 契約書を作成せず、注文書や請求書のみで行われた取引は、法的な効力を持たないため、無効となる。
  4. 契約の内容については、すべて当事者の意思の合致で決定することができるため、片方の当事者に一方的に有利なものにすることができる。
  5. 契約書を作成していない場合、当該契約の成立を立証する手段はない。

正解 2.
本問は、契約書の作成に際し注意すべき点について問う問題です。会社が事業を遂行する上で、日常的に様々な契約が交わされるため、そのような契約を適切に管理していくためには、契約の締結やその効力等について、正しい知識を持っておくことが必要です。
1. 多くの契約は、書面によらずに締結することができますが、保証契約など一部の契約については、法律上、書面で締結しなければ効力を生じないものがあります。1. の説明は、すべての契約で、書面が不要であるとしている点で誤りです。
2. 契約は、適切な権限を持っている者との間で締結する必要があります。法人の場合は、商業登記簿(登記事項証明書)の代表取締役の欄などを確認し、目の前の相手が適切な代表権を有しているか、又は、有効な代理権を授与されているかといった点を、確認することが重要です。よって、2.の説明は正しい。
3. 契約書を作成しない場合に、契約が無効になるとしている点で誤りです。なお、実務上、契約書を作成せずに、注文書や請求書のみで取引が行われることも多い。 4. 契約の内容については、当事者の意思の合致が尊重されるが、強行規定とされる法律が存在する部分については、当該法律に反する内容の契約を締結することはできません。4.の説明は、すべての場合に当事者の意思の合致が優先するとしている点で誤りです。
5. 契約の成立や内容が、後日争われる場合、契約書が作成されていれば当該契約書は当然その証拠となりますが、契約書が作成されていない場合でも、注文書や請求書など、残っている書面等が証拠となると考えられます。よって、5.の説明は誤りになります。

ビジネス
コミュニケーション

概 要

双方向の円手なコミュニケーションの留意点、相手の心を動かすビジネスマナー、さらにビジネスに必須の社会常識を学習します。
中小企業の経営者および経営者をサポートする人には、仕事関係者との良好な人間関係構築および社内の組織力強化のためのコミュニケーション力、相手に好感を持たれ信頼されるためのビジネスマナー、社会常識の習得などが求められます。

【公式テキスト「第5章 ビジネスコミュニケーション」目次】

  • 5-1 意思疎通の重要性
  • 5-2 温かい人間関係
  • 5-3 言葉遣いは心遣い
  • 5-4 目的に合った言葉遣い
  • 5-5 顧客満足
  • 5-6 結果を出すための電子メール
  • 5-7 確実な情報共有ビジネス文書
  • 5-8 商談を成功に導く企業訪問
  • 5-9 友好関係に必須の交際業務
  • 5-10 国際化社会のキーワード
  • 5-11 経済に関する基礎用語1
  • 5-12 経済に関する基礎用語2
  • 5-13 労働環境・経営の基礎用語
  • 5-14 IT社会のリスクマネジメント
  • 5-15 AIを活用できるIT知識
サンプル問題

次の接待でのマナーについて、不適当なものを選択肢の中から1つ選びなさい。

  1. 接待の目的は、一緒に楽しく食事をすることで商談をスムーズに進めるために行な う。
  2. 相手の好みは分からないので、場所はこちらの予算や好みに合うところにする。
  3. 明るくリラックスした雰囲気を作り、会話が途切れないように事前に情報収集して おく。
  4. 接待中はお酒などを無理強いしないように配慮しながら、食事などは遠慮しないよ うに勧める。
  5. 手土産は事前に準備し、一般的にお勧めの菓子などかさばらないものにする。

正解 2.
相手に気持ちよく楽しんでもらうために、場所は目的に合ったレベルの場所・相手にとってアクセスが良いこと・相手の好みにあっている料理やお酒であることなどで決めていきます。
[贈答のマナー] 贈答とは、慶事を祝う心や、日頃の感謝を表すために、品物を贈ることです。品物を選ぶときは、贈る目的に応じて、相手の年齢・性格・嗜好・趣味なども考慮して選びます。先方の負担にならないよう、高価なものを避けるなどの気遣いも必要です。
[贈答選びのポイント]
・相手の好みに合うもの
・相手先の人数を配慮したもの
・日持ちのするもの
・季節感を与えるもの